総支配人コラム
2015.11.18
respect
父がラグビー選手だったこともあり、昨今のラグビー報道には少々誇らしい気持ちが湧いてきます。ラグビーワールドカップ2015で世界第3位の南アフリカチームを破るという大金星を挙げた日本代表。残念ながら決勝には進むことが出来ませんでしたが、サモア戦、アメリカ戦を見た人たちは、南ア戦の勝利はまぐれではなく「日本のラグビーの強さは本物だ」と確信したのではないでしょうか。
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やはり気になるのは何故、ラグビー弱小国だった日本において、代表チームをここまで育て上げることが出来たのか。ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏はどのような指導を行ったのかということです。
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氏の著書からすると、「リスペクト(respect)」つまり「敬意を払う」という概念をチームの指導に取り入れたと受け取ることが出来ます。
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皆さんもテレビ等でご覧になったことがあるでしょう。一人の選手が敵のディフェンスを突破した時、見方の選手がそれを追うように懸命に走ってサポートする姿。
突破すると、通常その瞬間、突破した選手と見方の選手の間にわずかな距離が生まれます。動きの激しい試合中、疲れてくると、その瞬間仲間の動きを漠然とただ見てしまいがちになります。そうやって心の距離も加わり、突破した選手を孤立させてしまっては再びボールは敵の手に渡ることになります。エディー・ジョーンズ氏は、選手の努力を無駄にしないためにも、周りが懸命に走ってサポートする、孤立させない。どんなに疲労していてもしっかり意識して目でとらえ、追いかける。それが仲間へのリスペクト(respect)だと。
「respect」の語源は、「re(再び)」「spect(見る)」。つまり、軽くちらっと“見たつもり”ではなく、もう一度、しっかり見ること。ラグビー日本代表が目指したように、疲れているときこそ周囲へのリスペクトの真価が問われる時。忙しいと思う時にこそメンバーに対して関心の眼差しを向けてこそ強いチームへ成長出来るのではないかと思うのです。
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参考)『コーチングとは「信じること」
~ラグビー日本代表ヘッドコーチ
エディー・ジョーンズとの対話』文藝春秋 生島淳(著)