日常レポート
2009.04.05
帰り道
『 この陽を.今日も受け止める.. 』
西の空に降りてゆく 陽に
さようなら.. .
ここ東京
アルタクラッセ二子玉川に
夜の帳が降りてきます
でも
この地球のどこかでは
はじまりです
… . . … ……. . .. . …….. . .. . ・
『 朝のリレー 』
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
微笑みながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭(ちゅうとう)を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
軽度から軽度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
【谷川俊太郎(1931~)詩人/詩集『 朝 』より)】