総支配人コラム

2014.04.19

欠伸指南

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4月は新年度、新学期の季節、新しい習い事を始める方も多いことでしょう。

落語の古典にはそんな習い事を題材とした小噺が多くあり、中でも「欠伸指南(あくびしなん)」は私の好きな”指南もの小噺”です。

あらすじは至ってシンプルでのどか、その名の通りあくびを指南するお話しです。

時は江戸。
町内にあくびの指南所ができたので、熊さんが源さんを連れてあくびを習いに行きます。
あくびの師匠曰く、無意識のあくびは駄あくびといって一文の値打ちもない、あくびという人様に失礼なものを風流な芸事にするところに趣があるというのが講釈。

初心者のあくびには春夏秋冬とあり(!?)、一番易しい夏のあくびを指南されます(笑!)
隅田川を舟に揺られながら思わず出るあくび。
この初心者向けのあくびがなかなか上手く出来ない熊さんを見ていた源さんが、「こんなくだらねぇ話を聞いてると、退屈で退屈で、(ホワァ~~)・・・ならねぇや」それを見た師匠が「ほら、お連れさんの方がお上手だ」とオチが決まる小噺です。

ホントかウソか。
この噺は聞いてる客の方があくびをするように、ことさら下手くそに演じるのがコツだそうですが、上方落語の桂枝雀の語りっぷりはコミカルで抱腹絶倒、とてもあくびをしている余裕を与えない面白さです。

実は私、幼少期に何故か落語を習っていた時期がありまして・・・。
自称”箱入り娘”のはずが、華やかなピアノやバレエを横目に何故落語!?
週に一度、羽織袴の師匠が自宅に来て対面で座ったかと思うと幼稚園児に向かって「熊さんは右側、源さんは左のこの辺を見て」と指南が始まるわけです。
それでも師匠のあくびが本当に気持ち良さそうで面白かったのを覚えています。

大人になって今思うと、あくびという当たり前の日常に趣を求めるという何とも”ゆとり”のある日本らしい風情ですね。
春眠暁を覚えず。
お後がよろしいで。

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