日常レポート
2008.10.14
『空の青さを見つめていると』
空の青さをみつめていると
私に帰るところがあるような気がする
だが雲を通ってきた明るさは
もはや空へは帰ってゆかない
陽(ひ)は絶えず豪華に捨てている
夜になっても私達は拾うのに忙しい
人はすべていやしい生まれなので
樹のように豊かに休むことがない
窓があふれたものを切りとっている
私は宇宙以外の部屋を欲しない
そのため私は人と不和になる
在ることは空間や時間を傷つけることだ
そして痛みがむしろ私を責める
私が去ると私の健康が戻ってくるだろう
【谷川俊太郎 昭和28年刊行『六十二のソネット』収録】
~宇宙まで抜ける深い空を見つければ、雲を蹴散らし光り輝き、きっと帰れるに違いなく、
嬉しくて涙を流してしまうかもしれない・・・そんな昨日みたいな青い空を見上げれば、
知らぬ間にきっと、心の壁が少しづつ崩れてゆくような気がします~